遊戯王のコマ割り

よく言われる、遊戯王のコマ割りの上手さとして貼られるページ。

 

 

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バトルシティ編 遊戯VSマリク(人形)の1ページ。

ちなみに電子書籍だと文庫版12巻になります。

 

 

 

 

 

一般に漫画を読む時、読者の視線はS字に流れるとされています。

その流れに沿う形で画面を構成すると、読みやすい漫画になります。

 

それを踏まえて改めてこのページを見ると

 

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こうです。

 

枠線が全て斜めで、オシリスの攻撃にカットインの形で

遊戯とマリクの反応が差し込まれるという演出。

構図的にマリクのコマの後、

視線が1コマ目のマジシャン・ガールに戻るので

体感時間的にもまさにカットインしている感覚になります。

やっている事はかなり特殊で変則的なのに、このS字に沿っているので

迷うこともなく自然に読める!すごい!

 

 

 

──というのはその通りなんですけど、

大体言われてるのってそこまでなので、

このコマ割りがどうすごいのか、もう一歩説明したいと思います。

 

 

 

ここで意識したいのは、

漫画を流し読みする読者層の存在です。

実は世の中の人って案外ちゃんと漫画を読んでいない。

特に少年ジャンプ連載作品となればコンビニでパラパラッと眺めて

なんとなく展開を把握するような人の数も相当な数になるでしょう。

 

 

このページを流し読みすると、

視線の動きはこうなります。

 

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オシリスの攻撃方向にまっすぐ視線が流れて、そのまま次のページへ。

それで、必要最低限が伝わるようになっている。

 

 

このページ、5コマありますけど

そこで読者に届けなくてはいけない情報が何かと言うと

 

オシリスの攻撃でマジシャン・ガールがやられそう

・遊戯がそれに対して対策を発動

 

突き詰めるとこの二点です。

カットインのセリフなんかは名台詞なんですけど、

最悪読まなくてもいい。

ていうかこのページの吹き出し、一つも読まなくても

キャラの表情だけで最低限は伝わってしまうのです。

 

それを踏まえて見ると、「マジシャン・ガール守備力1700」という情報も

確かにオシリスの攻撃力2000より下である事の提示は一応必要なんですが

別に無くても表情だけでやられる事はわかるので、

読まなくても大丈夫なものとして

視線の流れからちょっと外れた所に置かれているのがわかります。

 

 

 

出来るか?そんなん。

これ週刊連載の中の1ページとして普通にやってるってマジか??

漫画家ではない、神だ。