その小学生は本当に天才なのか

具体的に誰ってわけじゃないんですけど、時々いるじゃないですか。

“天才小学生”みたいな肩書きの子供。

 

その中で時々いるのが“天才小学生ドラマー”みたいな人。

確かに、小学生とは思えないようなドラムプレイを見せている。

 

 

しかし思うのが、「そいつは本当に天才なのか?」という単純な疑問。

だって考えてみてください。

ドラムなんて、まずプレイヤーの絶対数が少ない。

 

例えばピアノとかって、小学生でこんなに弾けるんだすごいね!みたいな人

世の中たくさんいると思いますけど

その人達の大多数は別に天才扱いはされません。

何故なら、演奏者の数が多い楽器だから。

当然上には上がいる形になって、素人耳にはかなりの腕前に思えても

その世界ではまだまだみたいな扱いをされるわけです。

 

 

ではドラムの場合はどうか?

思い返してみても、小学校時代の友人で

家にピアノがある人は何人もいましたけど

家にドラムがあった人なんて一人もいない。

なんならドラムをやっているヤツすら小学校時代は一人も出会わなかった。

8ビートを叩けるだけで、その小学校で一番のドラマーになれる可能性だって

充分にあるくらいの感じではないでしょうか。

ドラムって、普通は親が子供に積極的に習わせるような楽器じゃないんですよね。

 

幼い頃からドラムをやっている人って、

大体が「親がドラムをやっていた」みたいな非常に稀有な家庭に生まれた

パターンなんですよ。

普通の人が自分からドラムを始めたいと思うのってだいたい

中学、高校あたりでロックバンドに憧れて〜みたいな形で。

日本でトップレベルのドラマーであるLUNA SEAの真矢なんかも、

天才小学生だった時代は無いのです。

 

 

さて、大人顔負けのプレイをする小学6年生がいたといましょう。

小学校入学と同時にドラムを始めたとしたら、ドラム歴は5年です。

 

5年って、ドラムという楽器においては

そこそこの歴なんだよな。

 

高校1年生でドラムを始めてバンドを組んだ人が

20才でメジャーデビュー!って言ったら

もちろんそれは凄いんだけど、

別にそれで特別天才扱いとかされないじゃないですか。

5年って、プロになってもおかしくはない時間なんですよね。

 

もちろん、そもそもドラムをやりたいと思う事、

毎日練習して上達していく事、それ自体が才能と言えるわけで

小学生なのにかなり叩けるってのは才能はあるんだろうけど

それを小学生だからという理由で天才現る!みたいに持ち上げるのは違わないか。

 

 

ドラムに限らず、色んな世界で早熟な人っていうのはいますけど

多くの場合、その人が本当に天才なのかっていうのは

大人になるまでわからないんですよね。

 

子供なのにすでにプロの中でも凄いって言うなら

文句無しに天才と呼べるでしょうけど、

子供なのにプロ級、くらいではまだわからない。

 

凄いっちゃ凄いけど、最終的にプロとしては並くらいで終わるのなら

天才かって言うとそうでもない感じじゃないですか。

 

あんまり幼い頃から持ち上げすぎちゃうと、

最悪そこが人生のピークになってしまうじゃん。

そういうのって可哀想だよねっていう、それだけなんですけど。

 

 

 

ところで歌くらいならまだしも、

ドラムの上手い下手をちゃんと評価出来る人なんて

世の中そんなにいませんよね。

もちろん私はわからないよ。

単純にめちゃくちゃ速いフレーズを叩ける人は技術あるんだろうなって思うけど、

“一見シンプルながらも実際やるとすごく難しいフレーズ”とかって

どんな楽器でもあって。

この曲はそういうフレーズなんだよ、とか言われても

「ほぉーん……」くらいしか思えません。

クラシック楽器の国際コンクールとか観ても、

何が基準で順位が決まってるのかもわかりません。全員上手い。

 

そういうのもあって、コイツは本当に天才なのだろうか?って

思うのだけど。

世の中には自分が出来ない事を、それを子供が出来るってだけで

よくわからないのに凄い凄いと褒めまくるヤツいるからな。

わかる人の正当な評価が埋もれて割と害悪だと思う。